不動産投資とREITの違い

REIT投資講座REITの基礎知識>不動産投資とREITの違い

REITは手軽に始められる不動産投資と評価されることが多いです。しかしながら、実際の不動産投資とREITでは様々な点が大きく違います。
特に、コスト等の面からREIT投資の方が不動産投資よりも圧倒的に優れているという主張もありますが、それは一部間違った部分もあります。

不動産への直接投資とREIT投資の違い

REIT投資と不動産投資を比較する場合、REITの方が優れる部分もあれば、逆に不動産投資の方が優れる部分もあります。ここでは、アパート投資やマンション投資といった不動産への直接投資とREIT投資の違いについて分かりやすくまとめていきます。

REITが不動産直接投資より優れる部分

REITの方が不動産への直接投資よりも優れる部分というのは沢山あります。

  1. 売買手数料が安い
    手数料は株の売買と同じで、ネット証券なら0.1%以下で売買できる。一方の不動産の場合は売買の3%以上の手数料がかかる。

  2. 税メリットがある
    REITは売買による利益に対して20%の税金がかかる。一方の不動産投資は売買益は総合課税の対象(最高50%)になるし、さらに不動産取得税や登記費用などの税コスト、手数料が多い

  3. 不動産の個別リスクが無い
    複数の不動産に投資をしているREITは1物件、1部屋あたりのリスクが少ない。空室が出ても、全体への影響が軽微です。

  4. 売買しやすい
    証券市場で売買されるため、流動性が高く決済が容易です。一方の不動産の場合は相対取引となるため、すぐに売買が成立しにくいです。

  5. 物件を自分で管理する必要が無い
    REITの場合、不動産投資におけるすべての運用はファンドが行ってくれます。物件の管理や入居者とのトラブルなどはすべてファンドが対処してくれます。
    実物投資の場合でも管理会社に委託することはできますが、法的なトラブルなどが生じた時の対応はやはりオーナーが行う必要があります。

と、こんな風にREITの方が不動産への直接投資よりも優れている部分が大きいです。それでは、直接投資にメリットはないのでしょうか?

 

不動産へ直接投資(実物投資)をするメリット、強み

不動産への直接投資を行うメリットは「レバレッジ効果」「投資した不動産を担保に次の投資をする事による資産形成」「所得の節税効果」といった強みがあります。

  1. レバレッジ効果が高い
    不動産投資は「不動産ローン」などの融資を使って購入することが多いです。頭金の割合などはケースバイケースですが1割程度になることもおおいです。つまり10倍のレバレッジを効かせることができるということになります。融資期間は10年~20年と長期で返済可能です。 REITの場合、信用取引の3倍程度(期限は6カ月)ですので、高額投資をやりやすいのは直接投資です。
    レバレッジをきかせることができるというのは成功すれば大きなリターンが、失敗すれば大きな損失を生むことになります。メリットである一方でリスクを拡大させる要因出ると言うことも同時に理解していく必要になります。

  2. 投資不動産を担保にしたさらなる投資ができる
    不動産投資はある程度の規模になると、銀行からビジネス(事業)として評価されます。そうなってくると、不動産収入からのキャッシュフローなどを評価して融資を受けたり、投資用不動産を担保にして融資を受けて、さらに物件を購入するという流れを作ることができます。
    私の知人でも、サラリーマンをやりながら数億円相当の不動産を保有している人がいます(当然負債も数億近くありますが・・)。
    このようにダイナミックな資産形成ができるというのは不動産への直接投資の利点となります。

  3. 税制上の節税効果
    資産(建物)の減価償却費を費用として、年収が多い方はその分の節税効果なども期待できます。特に高所得の方ほど効果的になります。
    特にサラリーマンなどで高収入を得ている人は、減価償却費などを費用として計上することで所得を減らし、所得税、住民税などの税額を減らすことができます。

 

直接投資は不動産を経営することになる

REITで不動産投資をするという場合、それはREITの運用者に全てお任せできます。それなりの運用・管理をしてくれるはずです。

その一方でアパート経営やマンション投資のように不動産を直接保有する場合はその維持管理を含めて自分で行う必要があります。もちろん、管理会社に委託することもできますが、まったく物件に関わらないというのは無理ですし、仮にそうすると管理会社にいいようにされてしまうリスクが大きくなります。

アパートやマンションを買って不動産投資をするというのであれば、不動産を経営するという意識を持って、不動産の運用、維持管理、入居率アップなどに頭を絞り、体を使っていくということを受け入れる必要があります。

 

物件選びは超難しい。でもそれがすべて!

また、不動産投資における物件選びは超難しいです。
不動産市場というのは基本的にグレーな市場です。「不動産市場の抱える問題点は不透明さとインサイダー」などでも書かれていますが、インサイダーは当たり前という市場です。

営業電話でお勧めの投資物件があります。などというようなセールスでくるような物件のほとんどはプロがいらないと判断した物件です。

不動産投資で失敗しない」では不動産投資におけるリスクや選び方などが紹介されていますが、それだけ不動産投資は失敗する要因が多いということです。

特にその大きな原因が「物件自体」にあることが多いため、不動産への直接投資は物件選びを失敗すると、それだけで「積んでしまう」ような事態になることもあります。
売るに売れない物件を持ってしまい、その借金の返済の為に働くなんてバカな目に合うかもしれません。

一方のREITであれば、失敗をしても投資額以上の損失がでることはありません。

よほどの物件を見る目、それに自分自身の仕事(ビジネス)として不動産に関わっていくつもりが無いというのであれば直接投資よりはREIT投資の方が安心できるはずです。